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下野新聞寄稿 ~下野新聞に寄稿している「アジアの鼓動」を転載しています。~

67 第12回:これからが楽しみな市場

インターナショナル・フード・フェスティバル
多くの来場者でにぎわう
「インターナショナル・フード・フェスティバル」。
本県の島崎酒造と那須高原ビールも出展した

 香港は東京都の半分の面積に人口720万人が暮らす過密都市だ。その面積の多くは緑豊かな山であり、海岸沿いのわずかな平地に超高層ビルが林立する。そこに年間5400万人、中国からはその4分の3にあたる4000万人もの人が、ビジネス、観光、買い物などさまざまな目的で訪れる。
 域内に生産地を持たない香港では、農産物も加工食品もほとんどが輸入品だ。もともと味に定評がある広東料理に慣れ親しんでいるため、香港人はおいしいものに目がない。香港には世界中の食が集まり、日本料理店も1千店以上あると言われる。本県に本社がある元気寿司も香港っ子にはすっかりおなじみだ。
 競争は激しいが、高付加価値の食品を受け入れる成熟した市場であることに加え、旅行客がそれらを消費することで、中国、とりわけ同じ味覚を持つ、人口1億人近い広東省の人々に対するテストマーケティングの場でもあることが魅力だ。
 同じことはマカオにもいえる。カジノのイメージが強いが、世界遺産「マカオ歴史地区」のような観光資源もあり、女性や家族連れも楽しめる。香港に負けず、野木町ほどの面積に60万人が暮らす過密都市で、そこに年間3千万人もの旅行客が訪れる。まだ香港ほど成熟した市場ではなく日本料理店も多くはないが、これから楽しみな市場だ。
 折しも4月18日からの3日間、マカオ・フィッシャーマンズ・ワーフで食品関連事業者の団体が主催する「インターナショナル・フード・フェスティバル」が開催された。バイヤーだけでなく一般客も対象に、3日間で10万人の来場を見込む食の展示会だ。そこに本県の島崎酒造(那須烏山市)と那須高原ビール(那須町)が出展した。
 2社とも好調で、私がブースに行ったときには那須高原ビールは既に売り切れ、島崎酒造はマカオに在庫があるため売り切れてはいなかったが、ひっきりなしに客が訪れていた。2社とも英語が通じにくいマカオ向けに、広東語のパンフレットを用意していたのが印象的だった。
 今回はマカオでの取引先である卸会社のブースへの出展だったが、卸会社が決まっていても、地道に飲食店や小売店などの新規ユーザーを開拓して卸会社につないでいるのだという。海外の販路開拓にはこうした息の長い努力が必要だ。忙しい業務の合間を縫って自ら渡航し、笑顔で接客をこなす島崎酒造の島崎健一社長と那須高原ビールの小山田孝司社長の姿を見て、できる限りの支援をしていきたいと思いを新たにした。

 

*今回から4月1日付で着任した間山憲一駐在員が担当します。

間山憲一(まやま・けんいち) 1992年県庁入庁。経営支援課、国際課などを経て日本貿易振興機構(ジェトロ)に出向。4月から現職。宇都宮市出身・46歳

 

 

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