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香港駐在員をそれぞれ務める足銀の伊藤孝雄氏(隔月第2火曜日)と
県の毛塚隆弘氏(毎月第4火曜日)による現地の状況や県内企業の動向などの「アジアの風」リポート

103 No.1:「世界の工場」中国華南地域
- コスト競争、厳しい受注 -(平成29年4月11日)

 足利銀行が2015年4月に香港駐在員事務所を開設し、はや2年が経過しようとしている。この間に見てきた中国華南地域における日系企業の動向、また、最近携わった業務を紹介したい。
 1990年代以降、低廉で豊富な労働力を武器に、グローバル市場向け製造拠点が集積した華南地域は、「世界の工場」と称され、コピー機や携帯電話やデジタルカメラなどが製造され、これらの品目では、世界での生産台数の50%以上を華南地域で占めていた。しかし2000年代中ごろから、中国経済の成長鈍化、人件費の高騰や原材料費の高騰によるコスト上昇、尖閣問題など日中関係の悪化により、現地日系企業の経営上のリスクが高まってきている。実際に、取引先の企業へ訪問し話を聞いても、ほとんどの企業で、人件費や原材料費の高騰によって苦労しているといった話を聞くことが多い。また、ここ数年は、台湾企業や中国企業とのコスト競争が激しさを増しており、日系企業の受注環境は大変厳しい状況となっていると言えるだろう。
 人件費に関して言えば、香港に隣接する広東省深圳市の場合、ワーカー最低賃金が、05年に580元(約1万円)だったものが、15年には2030元(約3万5千円)と10年間で3.5倍にもなっている。
 原材料費においても、人件費同様、中国経済の成長に伴う需要の高まりから、さまざまな原材料で価格の高騰が起きており、企業の経営上の大きな問題点となっている。

 図表にもあるように、コスト削減や新規顧客の開拓は経営上の課題であり、最も解決したい問題でもある。そこで、当事務所では取引先企業のさまざまな問題を解決する支援をしており、その一つにビジネスマッチングがあり、その事例を一つ紹介したいと思う。
 取引先の中国工場から、「外注加工費を削減したいので、板金加工を行える日系企業を探している」と相談を受けた。そこで、華南地域にある板金加工ができる取引先を紹介したところ、現在見積もりを行うなど商談が進んでいる。コスト削減と新規顧客の開拓というニーズをうまくマッチングできた事例である。
 当事務所は、駐在員事務所であるため、融資などいわゆる銀行業務は行わないが、このように、当行のネットワークや現地のネットワークを活用することで、香港や中国を中心に東南アジア諸国連合(ASEAN)地域も含めて取引先のニーズをカバーしている。海外業務を通じて栃木県経済を活性化し、県内企業の海外展開を支援していきたいと思っている。

 

伊藤 孝雄(いとう たかお)
足利銀行香港駐在員事務所所長。
明治大卒。1993年足利銀行入行。三菱東京UFJ銀行香港支店、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)香港支店への出向、市場国際部などを経て、2015年4月から現職。とちぎ未来大使。47歳。栃木市出身。

 

 

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