戻る

下野新聞寄稿 ~下野新聞に寄稿している「アジアの鼓動」を転載しています。~

77 第22回:とちぎ和牛

とちぎ和牛
香港島上環にオープンした「焼肉グレート」

 農林水産省が10日に公表した「2014年農林水産物・食品の輸出実績」によれば、14年の牛肉(くず肉除く)の輸出量、金額は1251トン、81億7千万円と過去最高を記録した。前年比で量は37.6%、金額は41.6%の大幅増である。
 香港向けも量、金額とも36.5%増の385トン、20億3千万円となった。量では約3割、金額では約4分の1を占め、13年に引き続き輸出先の第1位だった。
 国が13年8月に公表した「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」では、12年に約4500億円だった食品輸出額を20年までに1兆円にする目標を掲げており、牛肉については250億円(4千トン相当)を目標にしている。
 輸出向け牛肉のほとんどは、もちろん黒毛和種を代表とする和牛だ。香港では国産銘柄牛がひしめき合い、激しい産地間競争が繰り広げられている。香港でも量に勝る鹿児島、宮崎、佐賀など九州勢が強いが、本県を代表する「とちぎ和牛」も健闘している。これまで香港への牛肉の輸出は、牛海綿状脳症(BSE)対策のため30ヶ月までという月齢制限が課されていた。「とちぎ和牛」は通常は32ヶ月で出荷されており、輸出用に出荷を早めていた。この規制が15年1月に撤廃されたことは朗報だ。
 課題はもちろんある。サシが多く入った肉は日本では評価が高いが、海外では赤身をより好む人も多い。香港への輸出に対応した食肉処理施設は国内に9カ所しかなく、その多くは九州に立地している。鹿児島や宮崎ではと畜後、需要に応じて国内用と輸出用に振り分けることができるが、現在、とちぎ和牛は輸出用のみ群馬県の施設を利用しているため、需要に柔軟に応じることが難しく、量の確保や経費の面でも不利だ。輸出対応の食肉処理施設の整備が望まれる。また、ライバルは国内の産地だけではない。オーストラリアで育てた「オーストラリア和牛」も出回っている。丁寧に肥育された国産和牛に食味では劣るとされるが、日本産和牛に比べ安く売られている。
 和食レストランがひしめき飽和状態と言われる香港だが、14年11月、チムシャーチョイ(尖沙咀)にJA全農ミートフーズ直営の焼肉「純」2号店がオープンし、他の産地に先駆けて「とちぎ和牛フェア」が1ヶ月間行われた。また、15年1月には高級住宅地にほど近いションワン(上環)に、宇都宮市に本店を構え日本国内で4店舗を展開する「焼肉グレート」がオープンした。このため、今後、「とちぎ和牛」が伸びていく可能性はある。

 

間山憲一(まやま・けんいち) 1992年県庁入庁。経営支援課、国際課などを経て日本貿易振興機構(ジェトロ)に出向。4月から現職。宇都宮市出身・46歳

 

 

戻る

© Tochigi Prefectural Government Hong Kong Office. All rights reserved.