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下野新聞寄稿 ~下野新聞に寄稿している「アジアの鼓動」を転載しています。~

70 第15回:シンガポール・テストマーケティング

県がシンガポールで実施した「テストマーケティング」
県がシンガポールで実施した
「テストマーケティング」

 シンガポールは東京23区とほぼ同じ面積に540万人が暮らす都市国家だ。外国人労働者を除く国民および永住者は384万人、その内訳は中国系74%、マレー系13%、インド系9%の多民族国家だ。
人口、面積とも香港よりやや小さいがほぼ同規模、人口密度は1平方キロメートル当たり7746人と、香港の6562人を上回る。しかし、現地に行ってみると街が思いのほかゆったりしている。面積の多くが山で占められる香港に対し、シンガポールは一番高いところでも標高164メートルと平たんで、国土の多くが可住地となっていること、海外からの来訪者が香港の年間5430万人に対し、シンガポールは1550万人と3分の1以下であることが理由だろう。活気の中にも落ち着きがある印象だ。
 1人当たりの国内総生産(GDP) は 54,776米ドル (2013年)と、日本(38,491米ドル)、香港(37,777米ドル)を大きく引き離し、アジアで最も豊かな国である。香港と同様、日本食は人気があり、900店もの日本食レストランがあるという。
 県は11日から4日間、シンガポールのクラークキーにあるリャンコート・ショッピングモールで「テストマーケティング」を実施した。19社から出品された77品目を試験販売するとともに試食アンケートを行い、各企業の今後の販売戦略に役立てようというものだ。リャンコートは高級スーパー「明治屋」をはじめ、日系の小売店や飲食店が多く入居し、日本食に関心が高いシンガポール人が数多く訪れる。
 折しも、5月の安倍晋三首相とリー・シェンロン首相の首脳会談を受けて、本県農産物に必要だった放射性物質の検査証明に代わって産地証明で輸出できるようになったばかりであり、岩舟町ぶどう生産出荷組合(栃木市)の巨峰とシャインマスカットも以前より楽に持ち込むことができた。
 試験販売の結果はさまざまだが、今回の持ち込み数量や値付けは全くの手探りであり、一喜一憂せず結果をどう活かすかが大切だ。しかし、間違いなくいえるのは説明の重要性だ。シンガポールにはおいしい物がたくさんあふれており、日本の物なら何でも買うわけではない。中には初めて見る物もある。期間中、アンケートを行うため計画的に試食の時間を設けたが、試食の直後は概して売れ行きが良かった。試食は何ものにも勝る商品説明なのだ。
 試食販売のため渡航した東京フード(佐野市)の塚越将童経営企画室室長も、売れ行きに手応えをつかんだのではないだろうか。

 

間山憲一(まやま・けんいち) 1992年県庁入庁。経営支援課、国際課などを経て日本貿易振興機構(ジェトロ)に出向。4月から現職。宇都宮市出身・46歳

 

 

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