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下野新聞寄稿 ~下野新聞に寄稿している「アジアの鼓動」を転載しています。~

61 第6回:シンガポールで県産商品

 シンガポールの市場動向の把握や本県の今後の施策展開に向けたヒントを探るため、10月2日から4日にかけてシンガポールの関係機関に出張した。
 シンガポールは東京23区よりやや広い710平方㌖に約520万人が住む都市国家である。小さな国ではあるが、一人当たり国民総生産(GDP)は日本を上回ってアジアで1番。富裕層も多く、世界中からさまざまな品物が集まるため市場は活気にあふれている。
 栃木県もシンガポールの市場に以前から注目しており、かつては「巨峰」などを輸出し評判も高かったが、東日本大震災以降は原子力災害の影響により、栃木県からの生鮮野菜や果物の輸入が規制され、まったく輸出ができない状態が続いていた。
 しかし、ことし4月から、中国、台湾、香港に先駆けて、放射性物質の検査証明書を添付すれば野菜・果物類の輸出ができるようになった。そこで早速6月、岩舟町ぶどう生産出荷組合が出荷の最盛期を迎えた「巨峰」と「シャインマスカット」を高級スーパー向けに輸出し、輸出再開の第1陣となった。これは大変好評だったようで、これを契機に今後、本県産食品等の輸出拡大につながるよう取り組んでいきたいと考えている。
 今回の出張の中で、在シンガポール日系企業を訪問し、今後の栃木県の活動の在り方についての意見交換を行ってきた。シンガポールは香港と同様、各自治体のトップセールスによる観光誘客や物産展が数多く行われ、日本の存在感が高い国であることがあらためて確認できた。一方で、自治体間の過当競争にも陥っており、各自治体が効果的・効率的なPRの機会を逸しているという意見もあった。
 栃木県にとっては原子力災害の影響で2年間も活動ができなかったこともあって、既に日本の自治体による売り込みが活発なシンガポールにおいて、いかに知名度を上げていくかは簡単ではない。過当競争に巻き込まれることを避けながら活路を見いだすには、オールジャパンでの売り込みの中にも「とちぎブランド」を効果的にPRできるよう取り組むことが大切である。
 そんな思いを抱えながらある日系スーパーに立ち寄ったとき、偶然そこで県内企業の「おばねや」のごぼう製品を目にした。「おばねや」のごぼう製品は香港でも既に高級スーパーや日本食レストランで流通しているが、シンガポールでも受け入れられているのを見て、捲土重来の取組に向け、とても心強く思った。

渡邉邦彦(わたなべ・くにひこ) 2004年県庁入庁。都市計画課、国際課、日本貿易振興機構(ジェトロ)を経て11年4月から現職。横浜市出身。34歳。

 

 

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