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下野新聞寄稿 ~下野新聞に寄稿している「アジアの鼓動」を転載しています。~

60 第5回:中国・東北の都市訪問

 7月29日から8月1日にかけて、関係企業等を訪れるため中国遼寧(リョウネイ)省の瀋陽(シンヨウ)市と大連(ダイレン)市を訪問した。栃木県が海外に駐在員を派遣しているのは香港だけなので、中国本土での業務も香港駐在員の仕事である。
 瀋陽市と大連市の間は同じ遼寧省内とはいえ約400kmもあり、かつては一度の出張で両市を訪問することは困難であった。しかし、昨年12月に高速鉄道ハルビン-大連線が最高時速300キロで開業し、瀋陽-大連間を夏場はわずか1時間30分、気温が氷点下20℃まで下がるため最高時速を200キロに制限する冬ダイヤでも2時間20分で結ぶようになったので、短時間で両市を訪れることが可能になった。
 まず初めに訪問した瀋陽市は、上海市や深圳(シンセン)市など、早い段階から日系企業が進出した都市とは異なり中国国営企業が多く、日本ではあまりなじみのない都市である。しかし、人口は800万人を超え中国東北地方では一番の大都市で、ミシュランやBMWといった欧州企業の製造拠点が進出しているほか、実は栃木県の企業も進出している。また、2010年には中国東北地方で初めてとなる地下鉄が開業するなど、都市のインフラも急速に整備され、今後、日本でも注目されるであろう都市のひとつである。出張中の地下鉄での移動では、日中5~6分間隔で運行されているにもかかわらず混雑が激しく、あらためて大都市であることを実感した。
 次に訪問した大連市は、1984年に中国初の経済技術開発区が設置されたため、多くの日系企業が進出し、県内企業も4社進出している。ジェトロ事務所のほか八つの自治体が事務所を構え、日系企業にとっては活動しやすい環境が構築されている。大連市の中心部は日本食レストランも非常に多く、日系企業が多く集まるテナントビルもあり、日本人にとって円滑にビジネスができる環境が整っている印象を受けた。
 両市を比較すると、瀋陽市ではより中国人の中に入り込んで仕事をしていくことが求められる。今回の出張では、瀋陽市では唯一の自治体事務所を設置している佐賀県の事務所にも立ち寄ったが、代表の北島忠栄(きたじま ただひで)氏から「上海や大連と異なり、日系の企業や団体が少ない瀋陽では、中国とより積極的に関わる必要がある。中国語で通訳なしで商談や交渉を行わなければ、なかなか食い込んでいけない」という話があった。今後は、瀋陽市のように日本人にとって今までなじみのなかった都市において、どのようにビジネス展開していくのかも課題となっていくであろう。

渡邉邦彦(わたなべ・くにひこ) 2004年県庁入庁。都市計画課、国際課、日本貿易振興機構(ジェトロ)を経て11年4月から現職。横浜市出身。34歳。

 

 

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