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下野新聞寄稿 〜下野新聞に寄稿している「アジアの鼓動」を転載しています。〜

56 第1回:激化する自治体間競争


2月に香港で行われた
「とちぎ和牛&栃木県産品レセプション」。
現地の多くのバイヤーでにぎわった

 私が8代目栃木県香港駐在員として赴任し、早2年余りが経過した。私の赴任前には先人たちの努力によって県産品の海外販路拡大や海外観光客誘致など、本県のアジアを中心とした経済活動は着実に成果を上げつつあった。だが、赴任直前の3月11日に起こった東日本大震災と、それに続く福島第1原子力発電所の事故により大幅なブレーキを余儀なくされた。
震災から2年が経過し、各種経済活動はマクロでみればほぼ震災前の水準に回復したように言われるが、栃木県にとっては依然として厳しい状態が継続している。
要因としてよく言われるのは風評被害である。しかし、ここ香港では風評被害によるマイナスの影響はさほど大きくなくなってきているというのが実感である。それよりも、本県がいまだに各国からの輸入規制等で限定的な活動を余儀なくされていることの方が大きい。例えば香港では今でも(22日現在)本県から野菜や果物の輸出ができず、自慢のイチゴもまだ売ることができない。
また、近年、他県も香港や東南アジアでの地場産品の販路拡大や観光客誘致の活動に力を入れてきており、より自治体間競争が激しくなってきた事情もある。2012年度だけでも8県の知事がそれぞれ香港でトップセールス等のイベントを行ったのもそうした競争が激化しているひとつの象徴と言えよう。
そうした中、12年度1年間の本県の海外における経済活動は、「捲土重来の足固め」とすべく各種事業を行ってきた。香港では観光や食品見本市への出展やとちぎ和牛レセプション、食品商談会等を実施すること、栃木県の魅力を再度確認してもらうことが出来たと思う。中でも、とちぎ和牛レセプションは同じタイミングで日本食レストラン等に対してとちぎ和牛フェアを開催してもらうことで、より中身の濃いPR活動が実現できた。
もちろん香港だけにとどまらず、この1年間中国大陸、東南アジアにも足を運び、各種経済活動の支援や情報収集等を行ってきた。特に、東南アジアは近年地方自治体の視線が非常に熱くなっており、今後の海外での経済活動の充実という意味では相当の期待が持てる地域といえる。
しかしながら、海外での地方自治体の活動が活発になる一方で競争も激化し、消耗戦の様相も呈しつつある。日本の自治体間の競争が単なる価格競争に陥り共倒れにならないよう、オールジャパンとして、他県と連携した活動の可能性も模索していくことが必要であろう。


渡邉邦彦(わたなべ・くにひこ) 2004年県庁入庁。都市計画課、国際課、日本貿易振興機構(ジェトロ)を経て11年4月から現職。横浜市出身。34歳。

 

 

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