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下野新聞寄稿 〜下野新聞に寄稿している「県香港駐在員リポート」を転載しています。〜


22 香港港の実像
―台頭著しい中国に対抗―

 年間2,000万TEU(20フィートコンテナに換算)という世界一のコンテナ取扱量を誇る香港港だが、最近は中国本土の港湾に押されがちだという声をしばしば耳にする。
 香港に隣接する広東省深セン市にある塩田港の昨年のコンテナ取扱量は、1995年と比較して実に50倍というすさまじい伸びを示し、一層の施設整備も進行している。
 また華東地域(上海市、浙江省、江蘇省)経済の高成長に支えられた上海でも、今年上半期の取扱量が前年同期比3割増の675万TEU(世界第3位)に達した。来年末には沖合に新港が完成することで、その取扱量はさらに増加すると予想されている。
 こうした状況を香港の港湾関係者はどうとらえているのかと思い、香港最大のコンテナターミナルのある葵涌港を訪ねた。
 この葵涌コンテナターミナルのコンテナ取扱量は、香港全体の6割を占める。ここには5社の運営会社が進出しているが、そのうち最大の香港インターナショナルターミナルズ(HIT)の担当者は、葵涌コンテナターミナルの運営が非常に効率的であることから、中国の港湾と比較して、まだ優位にあるという見方を示していた。
 理由として、まず自由貿易港である香港では関税手続きが不要なので、通関が非常にスムーズであることを挙げていた。これは、物流業者に大いに歓迎されているという。
 また、この葵涌コンテナターミナルの運営会社は、HITを含めてすべて民間会社であることから、市場原理に基づいて、文字通り一日24時間、1年365日操業しているという。
 中でも毎週百隻以上の船舶が入港し、一日当たり8,000台余りのトラックが出入りするというHITでは、社内で独自に開発したシステムを用いて、無駄を徹底的に省いたオペレーションを行っている。そのため他の港湾と比較した場合、クレーンの稼働率が非常に高い。船の接岸期間も大幅に短縮され、海運会社に大好評だという。
 現場を見ながら説明を受け、こうしたソフト面での充実度が、香港港の最大の魅力になっていると実感した。そして港湾施設の整備というハード面での取り組みを背景に、中国の港湾が台頭してきたとしても、香港がすぐに取って代わられることはないと感じた。事実、中国本土の港湾に押され気味とはいえ、香港のコンテナ取扱量も年々、緩やかながら増加している。
 こうした葵涌港の取り組み姿勢は、コスト高に悩む日本の港湾にとっても大いに参考になるはずである。そして各分野で進行中の「中国シフト」という現象に対しても、日本は、ハード面や人件費の安さではなく、効率的で「お客様本位」といったソフト面で対抗するしかないとあらためて実感した。

 

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