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下野新聞寄稿 〜下野新聞に寄稿している「県香港駐在員リポート」を転載しています。〜


17 日系企業の雇用事情
―悩まされる人材確保―

 中国華南地域に進出した日系企業は、内陸からやってくる出稼ぎワーカーの安い人件費を背景に競争力をつけてきた。しかし事業規模が拡大し、また中国国内での販路拡大など新たなビジネスチャンスが到来している今日、中間管理職や営業職、技術者といった中国人スタッフの確保に頭を悩ませるようになっている。
 5月30日、広東省深セン市において、「深セン日系企業人材募集大会」が開催された。この大会には、日本語ができる人材を採用したいという企業と、日本語能力を生かして就職したいという求職者双方のニーズが一致し、また企業にとっては採用活動にかかるコストを大幅に削減できるというメリットもある。そこで日系企業など126社がブース出展した一方で、求職者も、広東省はもとより中国全土から集まり、その数は6,000人に上った。
  東莞市に進出しているある日系企業は、新工場を建設する予定があることから、日本語のできる総務、人事スタッフを採用するために参加したという。しかし予想以上の人出だったことから、よい人材であれば予定外の職種であっても採用したいと意欲を見せていた。
  同じく広州市から参加した日系企業の採用担当者は、中国国内での営業力強化のためには中国人の力を借りることが欠かせないと述べ、マネージャークラスの中国人をぜひとも採用したいとのことだった。
  また会場を訪れていたある日系企業の関係者は、本来、中国人ワーカーの指導には中国人スタッフがあたった方が良い結果が出せるはずであり、またこうした「現地化」が、日本人社員を派遣するよりコスト的に安く上がることを強調していた。このようにどれだけ優秀な中国人スタッフを採用できるかが、進出日系企業が中国で成功する重要なポイントになっていると強く感じた。
  この日系企業人材募集大会を企画した深?市の外郭団体、深セン市中日経済文化交流促進会の黄旭秘書長も、「華南地域が日系企業にとって一層魅力的な投資先となるように、今後は日本語人材の育成にも力を入れていきたい」と語っていた。
  しかし、「社内教育に熱心な日系企業で知識や技術を学び、それらを武器にして給与や待遇の良い欧米系企業に移る」というのが理想の転職コースといわれているように、中国人人材の日系企業における定着率は決して高くない。これには年功序列的な賃金体系や、中間管理職として目覚ましい実績を挙げてもなかなか幹部に登用されないといった人事制度が影響しているといわれている。進出日系企業が中国人スタッフの能力を最大限発揮させ、中国にしっかりと根を下ろしていくためには、こうした日本的な雇用慣行も、見直しも迫られていくのではないだろうか。

 


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