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下野新聞寄稿 〜下野新聞に寄稿している「県香港駐在員リポート」を転載しています。〜


12 開発区事情
―進出には十分な調査必要―

 中国の昨年1−9月期のGDP(域内総生産)は、SARS(新型肺炎)の影響があったにもかかわらず8.5%という高い伸びを示した。こうした中国経済の急成長を支えているのが、外国企業による相次ぐ中国進出である。
 外国企業は通常、「開発区」と呼ばれる工業団地に入居して操業するが、その経済波及効果が大きいことから、中国各地では次々と開発区が設立され、外国資本を呼び込む動きが盛んになっている。
 浙江省杭州市郊外にある蕭山区は、台湾電機電子工業同業公会が行った「中国の投資環境とリスク調査」で、トップの評価を受けた。
 蕭山区にある蕭山経済技術開発区は1993年に認可された国家級開発区である。交通の便が良く、また産業インフラが整備されていることから、既に270社余りの外国企業が進出している。うち日本企業は32社で、栃木市の岩下食品も、1昨年3月に現地法人を設立している。
 蕭山経済技術開発区の叶永浩常務副主任は、「中国一という評価に満足せず、今後はワンストップサービスの充実などに努力していきたい」と話していた。なおこの蕭山区は、中国国内の同等クラスの地方自治体の中で製品出荷額が最も多く、また財政的にも大変豊かだという。こうした成功例に倣って、開発区は中国全土で増え続けているわけだが、今やその総数は4,000以上に上るという。いくら中国が広大で、投資環境も魅力的だといっても、この数はあまりにも多すぎる。そしてある県内企業の中国法人の総経理が、「開発区の職員が民間の開発業者のようになってしまった」と嘆くように、進出後の行政サービスがおろそかになっているという話もよく耳にする。
 こうした「開発区フィーバー」ともいうべき状況を憂慮した中国政府は昨年8月、開発区の設立を制限するとともに、現在整備中の開発区についても、土地利用計画などについて再調査する方針を表明した。
日本貿易振興機構(ジェトロ)香港センターで海外投資アドバイザーを務める喜多代晃さんも、「鎮や村(いずれも市の下部自治体)が設立した開発区の中には、認可されていないものもあり、そうした開発区に進出すれば操業できない可能性もある」と警鐘を鳴らしている。
 最近の「第三次対中投資ブーム」では、インターネットの発達などにより、中国の投資環境に関する情報が比較的入手しやすくなっている。しかし進出にあたっては、十分な事前調査が必要であることはいうまでもない。またインフラの整備状況といったハード面だけではなく、開発区のアフターサービスといったソフト面についても、しっかりと調査すべきであると感じている。
 県香港駐在員事務所としても、中国進出を希望している県内企業に対して、事前調査段階での開発区や進出済企業への訪問アレンジなど、一層踏み込んだ支援を行いたいと考えている。

 


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